舘そらみのオトコミシュラン

2017年は、セブ島か東京に居ます。

【入院】5日目。やっと落ち着いて病人、になった。

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5日目ともなると、もう気分は家並みにリラックスなのに、

まだ今日も処置があるというたけで緊張感があっていけねえ。

昨日は夜中ターミネーターに起こされた後、ついつい翌日の処置想像したら怖くなって眠れんくなった。

こわいなー。こわーなー。逃げたいなー逃げても痛いの知ってんだけどー。

「好きなことしかやらない」宣言で生きている身としては、今病院に居る言い訳が立たないんだが。

 

 

3回目の(最後の)処置が終わった。

なんだろ、痛いことに完全に疲れちゃった。

で、なんか完全に電池切れちゃった。疲れちゃったなー。もう、コロン。

どこにも力がない感じ。気がドワーって抜けた。

痛い痛い期への緊張、やらなきゃな仕事の緊張、そんな色んな緊張が、切れちゃった。

うーん、完全OFFった。しかばねちゃん。すごいな、ここまでのしかばね感。どこにも力が無いなー。

ボケーっと過ごす。緊張解けて体が溶けて、力は無いけどなんだか優しい気持ちになる。

一番気さくそうな看護師さんに、病気と関係ない話をしてみる。会話してみる。大層聞き取りにくいであろう私の言葉を、待ってくれる。会話が成り立つ。

それだけで、少し元気になれる。ホント、もう、簡単、今のあたし。一喜一憂とはこのこと。

 

もうずっと病室に居ない。「食堂におります」か「コンビニに行ってます」のどっちかを病室に置いている。基本食堂に居るので、看護師さんみんな直接来てくれる。定位置も出来た。

ナースの仕事の半分は、患者を探すことなんじゃあるめえか。

 

あまりにもずっと点滴を付けているので、そばに居すぎてフト「あれ?こいつなんだっけ?」ってなった。

ずっとずっとくっついてくるこいつ、なんだっけ。これ無い状態ってどんなだっけ、アレ。この腕に感じる、冷たいものがずっと入っていく感覚無くなると、どーなんだっけ?アレ。

もうかわいさすら感じる。点滴とゴロゴロ。

ゴロゴロ鳴る足音が、ちょっともうお気に入り。

疲れ果てて、寝た。起きた。お腹すいた。お腹が、自然にすいている。

 

夕食時。今日はお迎えの人たちが来て、沢山退院していった。

6人部屋も、今晩は3人になった。

「こうなったら、なんだか家族みたいね」とおばさんに言われた。

少し打ち解けて嬉しいけど、少しだけ「あんまり話かけないでね」オーラを出した。

おばさんたちの会話には、耳を傾けさせてもらっている。また、体悪い話合戦をしている。この後きっとまた、嫁の悪口を言い始める。ウソみたいに定型だ。

やっと回りが見えるようになってきたなぁ。他の患者さんのこと、来てくれる看護師さんのこと。

初めて、看護師さんの名前を覚えた。人間に一歩近づいた。「痛み」以外のお友達が出来た。治るなこれ。

夕食を初めて完食する。汁の一滴まで飲み干す。まだ、足りない。コンビニでサンドウィッチを買ってくる。平らげる…治ったな、これ。これ、もう治ったな。

しかも眠い。こんだけ食べてこんだけ寝て、もうこれ、快復の一途だな。

 

おばさんたちは、カーテン越しに食べ物の交換をしているらしい。

外から確かに見えないけど、「大丈夫、器返せばバレないから」「あらこれ美味しそうちょうだい」ってやり取りが大声で聞こえてくる。

さっき、うち一人は看護師に「食欲なくてヨーグルトも食べられない」と言っていたのに、喜んで酢の物もらってるわ。なんだおばさんたち。おもろい。

しっかし2人とも昨日手術して、ついさっきまで「トイレにも行けない」ってピーピー言ってたのに、2人並んで喋り出したらめちゃめちゃ元気になっちゃった。人間、おもしろい。

 

やっとやっと、周りが見えて来たやっと、ここが病院だと思って来た。やっとだ。

痛みへの恐怖のすごさを改めて思い知り、そして入院に慣れている自分を、思い知る。

いかん、慣れる場所は引き寄せられてまた来てしまうぞ。正直、そんな気もしている。

人生で沢山、入院を繰り返す予感なんて、実感なんて持ってしまっている。去年・今年連続入院の威力はすごい。

前回絶対拒否した患者着も、率先して借りちゃってるんだもん。

そしてこれ、超楽なんだもん。あー、病人だ。

ルーティンワークも一杯出来ちゃったし、毎日のちょっとした差にも驚かなくなった。

予想もつくようになった。

今日はこの患者数じゃ、寝る前のクスリの配布は早いだろう。消灯時間ぴったりにも、灯りが消されるに違いない。そんな予想をつける。

 

5日か。もうそんな居るか。地に足がついてないからよく分かんない。

 

医師がやってきて、改めて「性病系の数値は出ませんでした」と小声で伝えてくれる。

あ、もう忘れてたよそれ。そういえば私、そう思われて来てたんだった。

5日間、看護師や医者は私のことを「性病の人」と思ってたんだろーなーと知る。ウケる。

ま、もう何だっていいんだあ。

緊張解けてただただ眠いし、食欲すごいし、体が人間になってきてるもの。

「オラ、強くなりたいんだ!」と、仲間たちと12時間公道で立ち続けます。

色々お話したいことが溜まって来ているので、書くのも良いけど直接話す機会があったらいいのになあとか思っている。

【次回の公演】「他重人格」

【映画】

DVD発売中「私たちのハァハァ」

【WEBコラム】

「31にもなって約2週間仕事もせずにXを無心で追いかけてみる」

「初めましての恋バナ図鑑」

【劇評】

2月2日朝日新聞デジタル

【掲載】

週刊SPA!「いま、女たちが「都合のいい男」を欲しがるわけ」

LIG「言葉オタクなんです、私」

 

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