【入院】入院をしてしまった。1日目。
32歳になって2日。突然入院してしまった。
1年ちょっと前、腸炎で入院した。年中行事じゃあるまいし、今年もまた入院するなんて。
そんな、入院の日記。
「クラミジアかもしれない」なんて顔から火が出るようなことを言われて入院が決まり、結果的に扁桃周囲膿瘍で、痛みに震えております。入院生活、進行中。
2週間ほど前、夜に突然発熱。滅多に越えない39度という数値に怯えつつも、 自宅にあった解熱剤を飲んだら下がったので、翌日は普通に活動。
そしたらその日の夜からおかしくなった。
ただただ首が痛い。這いながら近くの病院へ。
「喉が腫れているねえ」と言われながら、クスリをもらい、寝る。あー痛い。 そんな日が、10日ほど続いた。
飲み薬じゃ効かなくなったので抗生剤の点滴を打ってもらう。それで翌日よくなる→また痛くなる→また点滴打ってもらう。
負の連鎖に疲れながらも、「とんでもない風邪にかかっちまったなあ」と思って、毎日病院に通っては屍のようになっていた。
通ってた病院の休診日、点滴切れてもう痛くて、浮気して別の病院へ。
そこで「このまま腫れると息吸えなくなるよ!」とおっそろしいことを言われ、近くの大きな病院への紹介状を渡され、タクシーに乗せられる。
どうなってんだ!と思いつつ、もうその時には、喉も首も顎も耳の後ろも痛くて痛くて、唾も飲み込めない狂犬病みたいな状態で、つまり喋れないもんで、質問もできず素直にタクシーに乗り込む。行き先も伝えられなくて、紹介状の宛先を手で指し示す。ブラジャーもしていなかったのに。
病院に着き、そして、入院になった。
診られた途端、入院になった。「いびつに腫れすぎ」だそうだ。 そして、言われた。
「クラミジアや梅毒の時にこのような腫れ方することが多いんですけど…最近の性交渉は?お仕事で性交渉されたりしました?伺いにくいのですが」
何が、何が悲しくて、ほぼ声にならない声で、苦痛に顔ゆがめながら、性交渉を、病院という場で詳らかにするんだ…。
もう、痛さと恥ずかしさと。状況を把握も出来ずに、必死に、とんでもない形相で、己の性体験を伝えた。
持ちうる力を振り絞って、性体験を伝えることが人生であるとは思わなんだ。
恥ずかしいし、怖いし。「梅毒が脳に回って死ぬ」なんて昔小説で読んだりした(多分江戸時代が舞台)こと思い出して、「一生の失態を犯してしまったか」と、絶望していた。もう気分的には、私の梅毒が脊髄を回っていた。
特に「あの時だ」なんて思い当たることが無くても、「今までの人生で絶対に無い」なんて断言も出来ない。
ああ、こうやって、病気に感染していきこうやって発覚していくのかと、あまりにもスムーズな告知に心を震わして天井見つめていた。(結果違ったんだけど)
CT撮ったり採血したり心電図撮ったり、色んな検査をしながら、合間合間で看護師さんが代わる代わるやってきて、耳元で囁いた。「こういうのは本当に運だから」「誰でもあるから、ね」異様な優しさが、もう辛い…。
フッと渡された検査材の、パッケージに「クラミジア検査」の文字。もう、私、辛い。
そうしてベッドに到着した。 1年ちょい前に入院経験しているもんだから、あまり驚きもせずに取り組めてしまう。
旅館なんかと違って、なんの説明も無い放置具合にも、もう驚きもしない。
耳鼻咽喉科の6人部屋に入院。窓際のベッドで嬉しい。ステロイドのおかげで、体かなり楽になる。
にしても、性病具合が気になって落ち着かない。担当看護師が若い男性なのは、何の羞恥プレイだろうか。 「見舞客にも、伝えないでください」と筆談で伝える。何を書いているんだ、私は。
10日間ほどの痛さの戦いから解放されて、寝て寝て寝て寝て、でもひっきりなしの点滴で膀胱はすぐ満杯になるから、トイレにだけ起きて、またすぐ寝る。
そしてやっとこさ、入院の意味を考えだす。げ、仕事どうしよう。
どうしようかなあ、マジで入院すんのかなあ。って、もう入院始まっちゃってるんだよなあ。今仕事、立て込んでるんだよなあ。 どうしようかなあ。
この「どうしようかなあ」と向き合わなくちゃ。
また簡単に、入院しちゃったよ。突然来るなあ、入院。
いつ退院できるかは、勿論まだ分からない。てか、明日にならなきゃ、正式な病名も分からない。今、結果待ち。