家の中での演劇は、どこか満たされる思いがしたんだ。
2009年に劇団を立ち上げ、小劇場界に足を踏み入れた。
劇場を借り、公演のたびにお客さんを集めた。んで、とんでもない衝撃を受けた。
「マジで客席、知り合いしかいないんだけど!!!!!」
恥ずかしい話だが、出来立てホヤホヤの劇団に足を運ぶ人なんて、知り合いか、観劇が日常になっている人ばかり。
年間に20本以上演劇を見る人たちで、客席は埋め尽くされていた。
若い私は思ったのだ。
「マジファック!!!」
せっかく、こんなにも力を入れて作っているのに。
その一本で、世界を変えたいくらいの心持ちで作っているのに。
慣れた感じで見られて、年間の20本のうちの1本にされるのが耐えられなかった。
「マジで、驚かしてやりてーんだけど」
そう思って、色々な手法を試した。お客さんをガンガン巻き込む芝居を作っては、「あなたがやってることはヒトラーと一緒だ」なんてアフタートークで言われたりもした。(あの言葉は、今でも許せん。ざけんな)
そんな無我夢中で色んな方法を試行錯誤していたうちの一つが、「のぞき見公演」だった。
劇場じゃない場所で、演劇をやろう。
同じ空間で、とにかくお客さんがドキドキしたり恥ずかしいことをやろう。
あの頃は、まだ住居で公演を行う団体も少なかった。
方法なんて分からないから、「東京観光」なんて嘘を書き込んでウィークリーマンションを借りて、内緒で公演を行った。それこそ、小さな部屋に10人足らずのお客さんを入れて。それが、のぞき見公演の始まりだった。
それがしかし、不思議なことに。
「ざけんじゃねーぞ、驚かせてやっぞ!」の荒削りの思いでやってみたら、
それがもう、
目から鱗が落ちるほどに面白かったんだ。
目の前で人間が演じていることが、私にはあり得ないくらい尊いものに思えた。
「俳優という他人が、目の前でむき出しになってくれている」ということに、感動した。
恥ずかしい言い方だか、心底「人間に触れた気がする!」と思って、感動した。
住居での公演には限りない可能性があるのだと、魅せられた。
それから7年近くが経つ。
のぞき見公演を4回やったら、その刺激に私自身も慣れ、「慣れたらやる意味なんかねー!」と封印してから約4年。
その封印を解く時がやってきたのだ。
もう一度演劇に戻るからには、私の世紀の大発明(とか言っちゃう)、
住居でのぞき見を外すわけにはいかねえ。と。
目の前に、人間が存在するということ。
そこで世界が繰り広げられているということ。
私は、こんなありがたいことはないと思っていて、(ありがたいという表現は伝わりにくいのはわかるが、本当にありがたいという気分なんだ。世界ありがとーみたいな、人間ありがとーみたいな。同じ時代に生きてて、今この瞬間を共有できて、なんかありがとーみたいな)
だから、今回ものぞき見を、やってみます。
開演時間なしとか、歩き回って良しとか、9時間ノンストップとか、今回もまた新しいこと色々盛り込みすぎて私自身が四苦八苦しておりますが、
でも、こんな大祭りを、もうドンドンドンドンパンパンパン、ですよ。
今回も、人間の色んな模様をご用意しました。
「両親死んだあとの姉妹会議」「SEXについて語る男女」「癌患者の気づき」「パリピとパリピの初対面」「付き合い二日目のカップル」「30女の人生劇場」
などなどなど。どうでしょう、のぞいて見たい誰かの人生の一コマはございませんか。
以下の時間に、一軒家は開いています。
いつだって、私どもの心は、皆々様に広く、開放宣言であります。
3日(日) 13:00~21:00
5日(火) 17:00~21:00
7日(木) 11:00~15:00
9日(土) 11:00~15:00、17:00~21:00
詳しい順路など情報はNEXT | ガレキの太鼓 オフィシャルサイトで。