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舘そらみのオトコミシュラン

2017年は、セブ島か東京に居ます。

【入院】4日目。痛みは、恐怖心で作られる。

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夜の間、何度も看護師さんが来て点滴を替えてくれる。ありがてーのー。

おかげで朝、拍子抜けなくらい痛みがない。

ゼロではないが、20000が20になったような感覚で、つんのめりそう。

20の痛みの体の状態に対応出来なくて、とても落ち着かない。

6時台から顔洗ったりツメ切ったりと色んなことやって、間を埋めようとするが、埋まらない。

痛さで広げられた空間が、今体内にポツリ。変な感じだ気持ちが悪い。

 

 

ま、今日もプチ手術なので、またその穴は埋められるのだろう。うーん、私、日頃どう生活してたんだっけかな。身体の中に、穴ぽっかり。昨日空いた痛みという穴が、ぽっかり。

力んだ体が、つんのめる。

 

朝の病院は良い。

小人たちが隠れて生活しているみたいな、トイストーリーの人形にでもなったような、不思議な世界がある。

特にこの病院は、早朝に1階に行き採血したり検査したりする。

9時にもなれば、すごい量の外来の人がやってきて満杯になるそこも、早朝は入院患者たちがカルテを持って点在しているだけ。のんびりと、採血されるのを待っている。

入院患者は動きものろいし、何より静かだし、オーラも静かだし、人形のようだ。

そんな人形たちが、外からの勢力が来る前にくそ真面目にやってる感じ、好きだ。落ち着く。

アットホームな不思議な空間だ。寝ぼけ眼で、朝の生活を送る。色んなチューブとかつけながら。面白い、澄んだ空間だ。

 

外から来た人たちはなんだか空気が淀んでいる。

外から来る人は少しだけ横暴な化け物に見える。生命力が強すぎるんだろうな。

色んな要素を抱えていて、メラメラ色んなもん携えて、ズシズシやってくる。

 

だから、面会時間になって色んな人が出入りし出すと、少しウッと息をつめて面会者に開け渡す。

面会者の人数なんて患者よりずっと少ないのに、威力がすごいから、すぐ場を制圧しちゃう。

だから、スッと気を遣って空気を明け渡す。

まるで、面会者が居ない時間に時間など流れていないかのように、面会者が来たことで空気が動き出しているかのように、スッと明け渡す。

自分の面会者には甘えてワガママ言うんだけど、他の人の面会者には、スッと空気をあける。だから、面会時間になると、少し身をひそめる。

外からの人が嫌だってことじゃない。それくらい、別世界の人に見えるし、違う世界の人かと思うくらいに太刀打ちできない。生命力と、外界の空気すごい。

だからたまに面会時間の前に来る方いるけど、ちょっとやめてほしいな。

空気を切り替える準備が出来ていない時に来られると、ドヨンとして疲れちゃうから。廊下に1人いるだけで、病棟の空気変わっちゃうから。

とか言って、朝から採血して、はりきって文章なんて書いてたら、疲れた。眠る。

 

そして、第二回目の切開が終了。

今日もまた、痛くて文字通り震えてしまった。終わっても痛い。

途端に、落ち込みだした。

今頃本当は、外出して仕事に行っているハズだった。

今日は、高校生たちに会って、私なりの授業をするハズだった。

大事な仕事に、行けなかったこと。大事な大事な…落ち込む。元気消えた。

元気消えて、寝た。

寝てる間に痛み止めが効き、体楽になり、心に余裕が出来てくる。出たこの繰り返し。

 

なんか病院、良いなあ。自分の中に深く入って行けて、いいなあ。

沢山の人が居るのにどんどん1人で、それは、とても尊い時間のような気がしてくる。

「痛い」と感じる自分について、なんてこと考えてたら、

どんどん自分のことちっぽけに思えてきて、しかも痛みの余韻でやはり体の中に大きな穴が空いていて。

それは、ものすごく尊い感覚。ここまで“ちっぽけ”な自分を感じられることは、そうそうないから。最高だ。

 

なんか、色々、良いや、と。カーテンも頑なに閉めずとも、ちょっと開いてていいや。

なんだっていいや。私はもうこの場所に安心したとも言えるし、場所なんてどーでもいい。

ここに存在する、ということ。に感覚が集約されていく。

なんかこのままここに居たくなってきちゃったな。点滴外したくないし。

 

そういえば、この部屋の誰とも喋っていないことにも気づく。

ちょっと私、態度悪いかもしれない。声出ないのは本当に不便だ。

 

最近叔父の具合が悪くて、その主治医の言うことがコロコロ変わることを母親が文句言っていたことを思い出す。

でも、医師が言うことが変わるのは至極当たり前のことなんだなと感じる。

だって、患者の体がこんだけ変わるんだから。

「先生はっきりしたこと言ってください!」って怒るなら、まずじゃあ患者がはっきりしなさいってことだな。

自分の体の行く末が分からないということを、受け入れだす。

あー、もう全て完成した。快適用品完成。他なんも要らない。

また痛くなりそうな予兆を感じ、それに追いつかれないようにと21:00を待たずに、寝た。

 

夜中の点滴替えのお姉さんが、ターミネーターみたいで、おもしろこわい。

ドーン来て、ワシャーっとして、ガーンと照らされて、帰っていった。なにがなんだか分からないうちに…襲われた気分だ。

面白いなー。

 

ここ数日で思ったけど、

痛みっていうのは、恐怖心なんだと思う。

逆に言うと恐怖心さえあれば、痛みは作りだせるのだと思う。

痛がらせたかったら、恐怖を与えればよい。

死刑囚や、予告されたのちに殺される人々のことを考える。

その痛みはどれだけであろうか。痛みの恐怖を持っている状態は、全てが過剰に感じるだろう。

いや、喉切開くらいで何ですが。

こんな私の痛みメーターも、もう恐怖心で狂ってしまっている。

痛みへの恐怖から、ただの採血一つすら痛く感じてしまうし、

昨日よりも今日の切開の方が痛く感じた。本当はそんなこと無いのに。

恐怖心がそうさせている。

この痛みが永遠に続くことなんてあり得ないのは分かっているのに、恐怖心がそんな妄想を創り出しちゃう。

 

体の中のぽっかり穴は、まだ埋まらん。

不思議なもんだ。

【映画】

DVD発売中「私たちのハァハァ」

【WEBコラム】

「31にもなって約2週間仕事もせずにXを無心で追いかけてみる」

「初めましての恋バナ図鑑」

【劇評】

2月2日朝日新聞デジタル

【掲載】

週刊SPA!「いま、女たちが「都合のいい男」を欲しがるわけ」

LIG「言葉オタクなんです、私」

 

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